イギリス留学ブログ

英国ロンドン、実際に起きたアルマーニ詐欺未遂、その手口等

当社現地サポートにご加入の20代男性のお客様が、ロンドン市内で詐欺の未遂にあいました。

12月のとある金曜日。14時30分あたりに起きた出来事です。

冷静になると、詐欺とわかるかもしれませんが、実際に自分の身に起きると意外に正しい行動ができないものです。

こちらの記事では、皆さまへの注意喚起のため、お客様から頂いたお話を、当社現地サポートデスクからの目線でご紹介します。

読んでおくと、実際自分の身に起きたとき、または似たような事例に巻き込まれそうになった時に役立つかもしれません。

旅先、留学先のトラブル回避のためにも、是非ご一読ください!

場所・会話の始まりから、お金を要求されるまで

ロンドン市内、Bank駅付近で道を歩いていたら、車に乗っている人から呼び止められ、「ガトウィック空港に行く道を知らないか?」と話しかけられたそうです。

そこで、道のりを調べてあげて、教えてあげたら、そこから会話が始まり、なぜかその人の車に乗リ込むことに。

そこから、車に乗っていた人物は「実は明日の朝イタリアに帰らないといけないんだが、お金が足りなくてレンタカーがどうたらこうたら・・」と言い出して、最終的に現金で2000ポンド強を貸してほしい、という流れになったそうです。

金額は、現在の日本円換算レートで、約35万円にものぼる金額でした。

自分はアルマーニのデザイナー!?

その人は自称イタリア人でアルマーニのデザイナー
新作と称して、社内で実際にアルマーニ製品のようなものも見せてきたそうです。

連絡先を交換、「後日お金は必ず返すから」というような会話があったはずです。

その後、その人(以降詐欺師)が必要という約2000ポンドを引き出すために、銀行に連れていってあげる、とのことで、車で近くの銀行へ

「いっぺんに2000ポンドは出せない」と言っても、「ATMの一度の限度額は500ポンドだから、4回に分けて出せば大丈夫」と、説明されたそうです。

現地サポートデスクに電話・・

銀行の店内に一人で入り、詐欺師から一旦離れたところで、お客様は、店内から当社現地サポートデスクにLINE電話をくださいました。

事情を聞いた現地サポート担当者は、「それは詐欺なので、絶対にお金を渡さないように」とアドバイスをし、それまでの状況を確認。

完全に「アルマーニ詐欺」であることがわかりました。

お客様と確認をしたところ、自称デザイナーの詐欺師は車で待機しており、銀行の中からも見えないところにいました。

お客様からも詐欺師が見えないことを確認し、LINE電話を継続したまま、銀行の外に歩いてそのまま出て頂きました。

連絡先を交換してしまっているので、もしその後連絡があっても、電話に出ないこと。

電話に出てしまって、その人だとわかったら、無言ですぐ電話を切ること。

等をアドバイスしました。

お客様が安全に地下鉄駅構内に入ったところで、電話サポートを終了しました。

もしお金を手渡していたら?

今回お客様は、お金を実際に引き出す前に現地サポートデスクにお電話を頂いたことで、未然に防げましたが、実際にお金を引き出して渡してしまっていたら、どうなっていたでしょう。

「ありがとう。お金はすぐに返すから」と言って、お金を受け取り、そのまま行方をくらましていたという可能性が高いです。連絡がつかず、お金はもちろん返ってきません。

もしかすると、「アルマーニの商品」を「友情のしるし」などと言ってして渡してきたかもしれませんが、詐欺師にと交換した連絡先にはつながらず、渡してしまった約35万円は行方不明になっていたことでしょう。

自ら引き出したお金であるため、保険の申請などもできません。


巧妙な詐欺師の手口


事件が起きたのは、シティと呼ばれる、ロンドン市内の「金融街」

一定数の観光客もいますが、ビジネスマンなどが多く、人でごった返しているような地域ではありません。

昼間の2時くらいという時間帯も、暗くなる時間と違って、一番警戒心が薄れている時ですよね。

きっと身なりや車も良く、不信感を与えない見た目の詐欺師だったと予測します。

詐欺師は、フレンドリーに話しかけてきて、その後、相手が考える隙を与えないテンポで、どんどん自ら話をしていったと思われます。

その話に引き込まれ、気づくと、相手の言うことを信用してしまう、一瞬相手に洗脳されてしまったような状況が作られていたようです。

この詐欺師の巧妙な部分は、あくまで、恐喝ではなく、「自らの意思でお金を引き出している」という状態を作ることです。

・銀行まで車で送っているにも関わらず、詐欺師自体は車内で待機→銀行の中にはついていかない。

・銀行の近くにも駐車をしない。

このような状況から、銀行内外のCCTVに被害者と自分が一緒に映らないようにしている計画と思われます。

あくまで、自分で引き出したお金を、自ら詐欺師に持ってきてくれるように指示をしているのです。

洗脳がとけたタイミング

お客様は、実は詐欺師と出会ってから一度当社現地サポートデスクに電話をかけてくださいましたが、用件を伝える前に、「かけなおします」と言って電話を切ってしまいました。

あとから聞くと、お客様が話し始めようとしたら、後ろから詐欺師がやってきて、「秘密にしてほしいから電話で誰にも話さないように」と言って電話を切らせたそうです。

恐ろしいですね。

そのあと、2回目に電話をしてくださるまで約1時間
その間ずっと詐欺師は話しかけ、説得しようとあの手この手を使っていたことでしょう。

銀行内でお金を引き出す前に、タイミングを見つけて再度電話をかけて頂いたことで、間一髪で未遂で終わりました。

詐欺師が銀行まで付き添ってこなかったおかげで、お客様が一旦考える時間ができ、現地サポートデスクに連絡をすることができました。

つい信用してしまった・・・

詐欺師が実際にイタリア人である可能性も低いですし、アルマーニのデザイナーはまず嘘でしょう。

イタリア人というと、聞こえがよく、アルマーニとの関連性もつくため、「自称イタリア人」である可能性が高いです。

こちらから「アルマーニの名前を語った詐欺はよくある手口なので、絶対にお金を払わないでください」と注意をして、お客様はやっとハッとされていました。

言葉巧みにフレンドリーに話しかけてくるので、信ぴょう性が高くなり、「明日イタリアに帰らないといけない人を助けないといけない」という気持ちになってしまわれたようです。

「実はアルマーニのデザイナーで」というところも「秘密にしてほしい」と念をおされたそうで、やはりそれを信じてしまって、我々にその部分を話すときにも躊躇されていました。

また、お客様は銀行を去る時にも「もう自分は帰ると伝えた方が良いのでしょうか」ともおっしゃっていました。

本当になんらかの交友関係があるような気持ちにさせられてしまっていたのがよくわかりました。

トラブルに合わないために→注意事項

今回お話を聞いて、以下のような方がターゲットにされやすくなるなと感じました。

ある程度英語力があり、相手の言っていることが理解できる能力がある方

留学生・ワーホリの若い男性
(アルマーニというブランドの特性上と思われますが、女性ももちろん注意をして損はありませんね)

また、以下が注意事項、留意事項ですね。

・自分が男性であっても、知らない人の車に乗ってはいけない
(詐欺でなくとも、なんらかの事件に巻き込まれるリスクがあります)

・どんなに「担保」を見せられても、知らない人に現金を渡さない
(知らない人に現金を渡すイコール戻ってこない、思ってください)

不自然なシチュエーションで出会った人には連絡先を教えない
(このご時世、電話番号、名前という個人情報も何に使われるかわかりません)

・「車に乗ったまま」通りすがりのアジア人男性に「道を教えてくれ」の不自然さ
(他にもっとイギリスの道に詳しそうな人は周りにいっぱい歩いているはず。なぜ自分なのか)

・アルマーニのデザイナーたる人物が、なんらかの理由でお金が困ったところで、道を歩いている人に「現金を貸してくれ」となるはずがない。
(特にスマホや送金技術などが発達した今、現金を知らない人に借りるなんてありえない解決法ですよね)

これらのこと、冷静になって考えると、当たり前のようですが、相手の雰囲気や上手な話し方などのテンポに飲まれ、冷静に考える力を失ってしまいます。

その心理をうまくついている、非常に悪質な詐欺です。

最後に

今回のお客様は、当社現地サポートに電話をかけてくださいましたので、未然に防ぐことができました。

きっと相手の話に引き込まれながらも、頭の片隅で「なんだか腑に落ちない」と感じていた部分があったのだと思います。

インターネットで検索をすると、このような事例は、世界各国で起きており、古くは2005年に書かれた記事にも似たような記述がありました。

逆に言うと、今でも似たような手口で、日本人がターゲットにされ、ロンドンでも起きていることなのかと知り、憤りを感じました。

冷静に考えることができない状況にさせられている中、お金を実際に引き出す前に、当社現地サポートデスクにもう一度電話をしてみよう、と思ってくださって本当によかったです。

追記

本来なら、詐欺師の外見、服装、車の種類など、犯人像を詳しくお聞きしたかった部分もありましたが、お話をしていて、未遂になったものの、1時間以上も詐欺師に拘束され、精神的に大変疲労されたご様子でしたので、それについて深く聞くことはしませんでした。

また、警察への通報も選択肢としてご提案はいたしましたが、通報等警察と関わる精神的疲労がさらに重なること、お客様ご本人のご出国が近かったことなどを鑑み、今回は通報には至りませんでした。

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